モジュラーシンセ接続の基本(VCO + エンベロープ + VCA)

ここではモジュラーシンセサイザーの基本的な接続構成について説明したいと思います。
使うモジュールはVCO,エンベロープ,VCAです。
これらをアナログシーケンサーで制御することを想定します。

凡例

図中では流れている信号の種類別にパッチケーブルの色を変えています。
信号の種類

※CV,GATEなどの言葉がわからない方はまずこちらをお読みください。

接続法

以下が接続前の機材図です。
example_start
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モジュラーシンセのVCFの仕組み

このページではモジュラーシンセのVCF(Voltage Controlled Filter)の仕組みについて説明します。

VCFはいわゆるフィルターと呼ばれるもので、一般的なハード、ソフトのシンセサイザーを利用したことがある方であれば、おおよそ想像のつくものです。主な役割は特定周波数の音量のカットと増幅です。

一般的なフィルターの種類(ローパス、ハイパス、バンドパスなど)とその挙動については、割愛します。Music Theory Workshopのサイトに詳しい記載がありますので、そちらをご覧ください。

基本構成

VCF
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モジュラーシンセのVCOの仕組み

ここでは、モジュラーシンセにおけるVCO(Voltage Controlled Oscillator)の仕組みを説明したいと思います。

VCOは、一般的にオシレーターと呼ばれ、シンセサイザーの音の元となる波形を出力するモジュールです。ここでまず覚えておいていただきたいことは、基本的にVCOは電源が入っている間中、音が出っぱなしになっているということです。
音のオンオフはVCAで制御します。

基本構成

VCOの基本構成は以下のような感じになっています。

vco

※図中のCV信号などの言葉がわからない方はまずこちらをお読みください。

図中のCVには、アナログシーケンサーやエンベロープからのCV信号を入力します。
各波形のOutputにはミキサーやVCAVCFなど、オーディオ信号の出力先を接続します。

主な波形の名前の日本語名と英名、略称を挙げておきます。

波形の名前

日本語 English ラベル上での略称例
正弦波 Sine Wave Sin
三角波 Triangle Wave Tri
矩形波/方形波 Square Wave Sqr
ノコギリ波 Saw Wave Saw

また、FreqとFineはピッチ(音高)の調整用のノブです。Freqで大まかなチューニングをした後、Fineで微調整をします。
DoepferのA-110のように-2,-1,0,+1,+2のような表示がありオクターブで大まかなチューニングを行うタイプのものもあります。

Pulse Widthは矩形波の波形の幅を狭めたり広げたりするノブです。矩形波を使った音色作りの際に使用します。以下の図のように矩形の幅が変化します。
Pulse Width
モジュールによってはPWやWidthなどと書かれていることもあります。

VCOの挙動

さて、実際の挙動を説明します。まずは下図をご覧ください。
CV信号を全く入力しない状態でも、VCOは常に音を出力し続けています。

vco1

次に、CV信号が流れてくると、その電圧に応じたピッチの音を出力します。

vco2

上図で入力されたCV信号のピッチの高さの変化が下のグラフになります。縦軸が音高(ピッチ)で、横軸がCV信号の電圧です。
一般的なモジュラーシンセのVCOは1V(1ボルト)ごとに1オクターブ音が高くなるV/OCT(ボルトオクターブ)方式で音高を制御する仕組みとなっています。

V/OCT グラフ

KORGのMS-20などはV/HZ方式をとっており、CV信号の電圧に応じて音高が高くなりますが、1Vのとき110Hz,2Vのとき220Hz,3Vのとき330Hz…というふうにピッチ上がっていくため、1Vで1オクターブになっているわけではありません。

SYNCとは

SYNC
VCOによっては、SYNCという入力があります。

使用例を以下に示します。
sync
VCO1のノコギリ波の出力からVCO2のSYNCにパッチケーブルを接続します。

これにより、VCO1の音高(ピッチ)とVCO2の音高が同期(=同じになる)し、また、VCO1の音高に応じて、VCO2から出力される波形も変化します。つまり、音色に変化を与えることができます。

Doepfer A-110とMake NoiseのSTOを使ったSYNCのテストを撮影した動画です。

最初はA-110から三角波が出力されていますが、A-110のSYNCにSTOの三角波を入力すると音色が変わり、STOのピッチにA-110が追随するようになっています。

モジュラーシンセサイザーのVCAの仕組み

ここでは、モジュラーシンセサイザーにおけるVCA(Voltage Controlled Amplifier)の仕組みを説明したいと思います。

基本構成

VCAの基本構成は以下のような感じになっています。
VCAの例
図中のCVには、エンベロープからのCV信号、SignalにはVCOからのオーディオ信号、OutputにはミキサーやVCFなど、オーディオ信号の出力先を接続します。
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モジュラーシンセサイザーのエンベロープの仕組み

ここでは、モジュラーシンセサイザーにおけるエンベロープ(Envelope)の仕組みを説明したいと思います。

基本構成

基本構成は以下のような感じになっています。
Envelope_detail
Attack,Decay,Sustain,Releaseの信号量を制御するためのツマミが付いています。

そもそもADSRとは

A = Attack 信号が最大になるまでの時間(立ち上がり)
D = Decay 信号がSustainで設定した値に至るまでの減衰時間
S = Sustain 減衰した信号の大きさ
R = Release 信号が消えるまでの時間(余韻)

※図中のGATEやCVという言葉がわからない人はまずこちらをお読みください。

まず、前提として、エンベロープはGATE信号を受けると、なんらかのCV信号を出力するモジュールだと覚えてください。

西海岸系のモジュールではADSRではなく、Rise & Fall という概念になっていますが、立ち上がりと、余韻という意味ではだいたい同じようなものだと思って問題ありません。

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Ableton Liveでエンベローブをカーブさせる方法

Ableton Live エンベロープ カーブ

エンベロープの線上でaltキーを押しっぱなしにするとカーソルの形が変わり、ドラッグするとエンベロープがカーブします。

パッショーネ ウェブサイト

パッショーネ

平島 幹さんの小説 Passione『パッショーネ』のサイト構築を担当いたしました。

企画:平島 幹
サイトデザイン・構築:atnr.net

モジュラーシンセサイザーで扱う信号の種類

モジュラーシンセサイザーでは以下に挙げるCV信号と、GATE信号をつかって音高の制御とノートのオンオフや各種モジュールの機能を制御します。また、トリガーシーケンサーやアナログシーケンサー間の同期にはクロック信号を使用します。
ただし、これらの信号は便宜的にそれぞれ呼び名がついていますが、そもそもすべて同じ電気信号であることに留意してください。また、CVとGATEを接続する、GATEとクロックを接続するなども自由です。

以下、モジュラーシンセで扱う信号の種類の概要を説明します。
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