モジュラーシンセサイザー入門 -メリットとデメリット-


ここでは、モジュラーシンセを導入する際のメリット、デメリットについて個人的な考えをまとめました。
モジュラーシンセの導入を検討している方の参考になれば幸いです。
当サイトのモジュラーシンセ記事一覧はこちらからご覧ください。

メリット

自分の好みの構成のシンセサイザーが作れる

基本的にモジュラーシンセは通常のシンセサイザーに搭載されている機能が、別個に販売されているとイメージしてください。オシレータはオシレータ、フィルターはフィルター、それぞれのモジュールが単機能となっています。オシレータ(VCO)フィルター(VCF)、LFO、エンベロープ(ADSR)VCAなどがセットになっているセミモジュラーシンセというものもあります。あらかじめ、基本的なシンセサイザーの構成要素がセットされているのでバーチャルアナログシンセやソフトシンセとほとんど同じような感覚で使うことができるでしょう。

奇抜なモジュールで普通のシンセで作りにくい音作りが可能

様々なメーカーから様々な種類のモジュールが販売されており、それらを組み合わせることで独特の音色を作ることができます。もちろん、ソフトシンセでも個性的な音は作れますが、S&H、ランダムモジュールやクロックディバイダーなどのモジュールを使って、予想外のサウンドを得ることもできます。

見た目が派手

好みの分かれるところですが、モジュールによっては、パネルのプリントが独特なデザインだったり、LEDがチカチカ光ったりするので見た目のインパクトがあります。マウントされたモジュラーシンセがステージ上にあれば、ラップトップの光るリンゴマークよりも目を引くことは間違いないでしょう。

MIDIで制御すれば、DAWにも組み込める

意外に思われるかもしれませんが、普段コンピュータでトラックメイキングしている方は、比較的用意にモジュラーシンセを曲作りに活用することができます。MIDIやUSBに対応したモジュールを組み込むことでPCや他のMIDI機材とかんたんに同期や自動演奏が可能です。もちろん、鳴らした音はオーディオプラグを変換すれば、お手持ちのオーディオインターフェースを通じて録音することも可能です。

デメリット

機能を増やすほど、巨大化する

機能を増やせば増やすほど、モジュールがどんどん必要になるため、システムが大型化します。大型化すると、大容量の電源や大型のケースも必要となります。たとえば、3.5mmのプラグではなくフォーンで直接出力したい場合は、フォーンで出力するためのモジュールを用意する必要があります。(もちろん変換ケーブルを使うという手もありますが!)
自分がモジュラーシンセでやりたいことは何なのか?をまず考えて、どれくらいのモジュールが必要なのかを見積もってみた方がよいでしょう。そんなときはModularGridがおすすめです。
省スペースという意味では、MAX/MSPやPD、Reaktorなどのソフトウェアが圧倒的に有利です。

基本はモノシンセ

コードを発せられるモジュールもありますが、基本的にはモジュラーシンセはモノシンセだと考えておいてください。もちろん、オシレータを複数個用意すれば、ユニゾンやデチューンするボイス数を増やすことが可能です。nordleadやProphet 5などのポリシンセのような動作が欲しい場合は、複数のMIDIノートを変換して複数個のCV信号を出力することで、複数のオシレータをコントロールしポリ発音する方法もありますが、その分費用がかかります。

日本での制約

モジュラーシンセには日本ならではの、ちょっとした制約があることにも注意したいです。

1.値段が割高のこともある

海外製のモジュールが多いため、輸送費、関税、日本語マニュアルの作成費などが上乗せされた価格で販売されています。また、為替の変動も価格に影響します。

2.販売店が限られている

モジュラーシンセは昔から存在していますが、音楽市場での扱いが小さく取扱店が限られています。東京や大阪でも実店舗の取り扱いが限られています。地方にお住まいの方はネットでの購入がお勧めです。実機で確認できなくても、モジュールの挙動やサウンドはYouTubeでモジュール名やメーカー名を検索すると色々な動画が出てくるので参考になります。
モジュラーシンセを販売しているお店の紹介はこちらから。

3.日本語の情報が限られている

海外製のモジュールが多いため、大半のモジュールの情報、マニュアルは英語で提供されています。購入店によっては、日本語マニュアルを添付して販売しているところもあるので、英語力によっては購入店を検討した方が良いでしょう。

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