ここでは、モジュラーシンセサイザーにおけるエンベロープ(Envelope)の仕組みを説明したいと思います。
基本構成は以下のような感じになっています。
Attack,Decay,Sustain,Releaseの信号量を制御するためのツマミが付いています。
A = Attack | 信号が最大になるまでの時間(立ち上がり) |
D = Decay | 信号がSustainで設定した値に至るまでの減衰時間 |
S = Sustain | 減衰した信号の大きさ |
R = Release | 信号が消えるまでの時間(余韻) |
※図中のGATEやCVという言葉がわからない人はまずこちらをお読みください。
まず、前提として、エンベロープはGATE信号を受けると、なんらかのCV信号を出力するモジュールだと覚えてください。
西海岸系のモジュールではADSRではなく、Rise & Fall という概念になっていますが、立ち上がりと、余韻という意味ではだいたい同じようなものだと思って問題ありません。
さて、実際の挙動を見てみましょう。まずは下図をみてください。
最初、GATE信号を受けていないときは、なにも信号を出力しませんが、GATE信号を受けると、CV信号を出力します。
上図で出力されたCV信号の経時変化(時間につれての変化)が下のグラフになります。縦軸がCVの電圧で、横軸が経過時間です。
GATE信号が送られてくると、Attack,Decay,Releaseで設定した時間分、CV信号を出力します。
VCOのピッチに対してエンベロープから出力したCVを与えると、ADSRで設定したCVの電圧変化に応じて、音高が上下します。
VCAに対してエンベロープのCV出力を与えた場合、Attackが長ければゆっくり音がなり始めますし、Attackが短ければGATE信号を受けてすぐに音が鳴ります。Releaseが長ければ余韻が長くなりますし、短ければ余韻は短くなります。
VCFの周波数に対してエンベロープのCV出力を与えた場合、CVの電圧変化に応じて、フィルターが開閉されます。
ADSRまたはRise&Fallの一連の流れをループさせる機能です。VCAにかけると音が鳴ったり止んだりを繰り返します。
Pittsburgh ModularのEnvelopeはCycleのスイッチをオンにするとループします。
エンベロープがCV信号を出力している間に、エンベロープのリトリガー入力にGATE信号を送るとADSRの変化を中断し、最初から再度実行します。
DoepferのA-141はRetriggerにGATEを入力すると、エンベロープをリセットします。