DAWからモジュラーシンセサイザーの音を鳴らす方法


この記事では、Ableton Live,Cubase,LogicのようなDAWソフトからモジュラーシンセサイザーの音を鳴らす方法について説明します。

DAWからモジュラーシンセを制御するのに必要なモジュール

DAWからモジュラーシンセをコントロールするのに必要なモジュールがMIDI-CVコンバーターと呼ばれるモジュールです。
このモジュールは、DAWやMIDI対応機器から送られたMIDI信号をモジュラーシンセで使用されるCVやGATEなどの信号に変換する機能を持ちます。

以下の図のような入出力を持ちます。
MIDI CV コンバータ
図中ではMIDI INからMIDI信号を受け取るようになっていますが、USB接続できるモジュールもあるので、使用用途に応じて適切なものを選択してください。

また図のCV-MIDIコンバーターは同時に1音のMIDIノートしか入出力できません。市販されている、CV-MIDIコンバーターはだいたい、1音のMIDIノートしか出力できませんが、モジュールによってはポリ出力も可能です。

MIDI IN(またはUSB)から受け取ったMIDI信号は以下のとおりに変換されます。

MIDIとCV/GATEの変換対応

ノート オン/オフ GATE信号
ノート CV信号
ピッチベンド CV信号
モジュレーションをはじめとしたMIDI CCの値 CV信号

基本的な接続方法

次に実際に、MIDI-CVコンバーターを使用した接続例を紹介します。
まずは、MIDIノートのオン・オフとMIDIノートを送る例です。

接続例 MIDI CVコンバーター

上図のとおり、まず、MIDI INとPCまたはMIDI機器のMIDI OUTを接続します。
そのあと、CV NOTEとVCOのCV入力を接続します。これで、MIDIノートをCV信号に変換した電圧でVCOのピッチをコントロールできます。

次に、MIDI-CVコンバーターのGATEとEnvelopeのGATE INを接続します。これでMIDIノートがオンになるたびにGATEが出力され、エンベロープからVCAにCV信号が出力されます。MIDIノートがオフになるとGATEの出力を止めます。

この状態で、DAWやMIDI機器からMIDIノートをモジュラーシンセに向けて送信すれば発音します。

あとは、CVとGATEさえ出力されれば、あとの挙動は通常のモジュラーシンセの接続と同様です。

ピッチベンドを制御する

まずは、下図のとおりに接続します。
MIDI-CVコンバーターのCV PitchとVCOのCV2を接続します。

MIDI-CV コンバーター 接続例

今まで、VCOのピッチ=音高はCV 1への入力で行ってきましたが、これは通常のピッチをコントロールするために使用しています。
MIDIにおけるピッチベンドは、本来鳴っているMIDIノートに対して、付加的に音程を上下する機能です。
これをCV信号で実現するためには、MIDIノートの音高を出力しているCV信号に対して、さらにピッチベンドで上下した音程分のCV信号を付加する必要があります。
CV2にCV Pitchを接続しているのはそのためです。DAWやMIDI機器で操作したピッチベンドのかかり具合は、CV 2のボリュームノブで調整します。
CV 2のノブを絞れば、DAW側でピッチベンドをかけてもあまりベンドしませんし、ノブを回して、CV入力量を増やせば、DAW側でピッチベンドを少しかけるだけでモジュラーシンセ側のベンドが効きやすくなります。

ベロシティーを制御する

まずは、下図通りに接続します。
ベロシティーの機能を実現するためには今までのセットにVCAをさらにひとつ追加します。

MIDI-CV コンバーターを使ってモジュラーシンセ上でベロシティーを実現する

今までの接続ではベロシティーの概念がなかったのでMIDIノートがオンになれば、エンベロープで指定した時間、VCAから音が出力されていました。今回は、CV-MIDIコンバーターのCV Velocityから出力されるCV信号をふたつ目のVCAのSignalに入力し、ひとつ目のVCAで鳴った音のボリュームをさらにコントロールしています。

ふたつ目のVCAのOutputからは、Signalに入力されるベロシティーの強さに応じたCV信号の電圧に応じたボリュームでオーディオ信号が出力されます。DAWやMIDI機器側でベロシティー弱めのMIDIノートを出力すれば、小さい音量でふたつ目のVCAからオーディオ信号が出力されますし、ベロシティーを強目にすれば、その分CV Velocityから高い電圧が出力され大きな音量が出力されます。VCAの仕組みがよくわからないという方はこちらをご覧ください。

基本的にベロシティーはMIDIノートがオフになるまでずっと出力されているので、MIDIキーボードの鍵盤を抑えている間、または、DAWでノートがオンになっている間は、モジュラーシンセから音が出力され続けます。

まとめ

以上で、CV-MIDIコンバーターを使用してモジュラーシンセをコントロールできるようになりました。

今回のポイントは、以下の3点です。

  1. MIDI-CVコンバーターを通して、どのMIDI信号がどのCV/GATE信号として出力されるのかを認識する。表はこちら。
  2. ピッチベンドはノートに対して付加する音程なので、通常の音程に対しさらにVCOでピッチベンド分のCV信号を加減して表現する。
  3. ベロシティーは音の大きさなので、モジュラーシンセ上で実現するためにベロシティー用のVCAを用意しCV信号の強弱で表現する。

皆さんも、ぜひDAWとモジュラーシンセを連携して、曲作りやライブに活かしてみてください!

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