ここでは、モジュラーシンセにおけるVCO(Voltage Controlled Oscillator)の仕組みを説明したいと思います。
VCOは、一般的にオシレーターと呼ばれ、シンセサイザーの音の元となる波形を出力するモジュールです。ここでまず覚えておいていただきたいことは、基本的にVCOは電源が入っている間中、音が出っぱなしになっているということです。
音のオンオフはVCAで制御します。
VCOの基本構成は以下のような感じになっています。
※図中のCV信号などの言葉がわからない方はまずこちらをお読みください。
図中のCVには、アナログシーケンサーやエンベロープからのCV信号を入力します。
各波形のOutputにはミキサーやVCA、VCFなど、オーディオ信号の出力先を接続します。
主な波形の名前の日本語名と英名、略称を挙げておきます。
日本語 | English | ラベル上での略称例 |
---|---|---|
正弦波 | Sine Wave | Sin |
三角波 | Triangle Wave | Tri |
矩形波/方形波 | Square Wave | Sqr |
ノコギリ波 | Saw Wave | Saw |
また、FreqとFineはピッチ(音高)の調整用のノブです。Freqで大まかなチューニングをした後、Fineで微調整をします。
DoepferのA-110のように-2,-1,0,+1,+2のような表示がありオクターブで大まかなチューニングを行うタイプのものもあります。
Pulse Widthは矩形波の波形の幅を狭めたり広げたりするノブです。矩形波を使った音色作りの際に使用します。以下の図のように矩形の幅が変化します。
モジュールによってはPWやWidthなどと書かれていることもあります。
さて、実際の挙動を説明します。まずは下図をご覧ください。
CV信号を全く入力しない状態でも、VCOは常に音を出力し続けています。
次に、CV信号が流れてくると、その電圧に応じたピッチの音を出力します。
上図で入力されたCV信号のピッチの高さの変化が下のグラフになります。縦軸が音高(ピッチ)で、横軸がCV信号の電圧です。
一般的なモジュラーシンセのVCOは1V(1ボルト)ごとに1オクターブ音が高くなるV/OCT(ボルトオクターブ)方式で音高を制御する仕組みとなっています。
KORGのMS-20などはV/HZ方式をとっており、CV信号の電圧に応じて音高が高くなりますが、1Vのとき110Hz,2Vのとき220Hz,3Vのとき330Hz…というふうにピッチ上がっていくため、1Vで1オクターブになっているわけではありません。
VCOによっては、SYNCという入力があります。
使用例を以下に示します。
VCO1のノコギリ波の出力からVCO2のSYNCにパッチケーブルを接続します。
これにより、VCO1の音高(ピッチ)とVCO2の音高が同期(=同じになる)し、また、VCO1の音高に応じて、VCO2から出力される波形も変化します。つまり、音色に変化を与えることができます。
Doepfer A-110とMake NoiseのSTOを使ったSYNCのテストを撮影した動画です。
最初はA-110から三角波が出力されていますが、A-110のSYNCにSTOの三角波を入力すると音色が変わり、STOのピッチにA-110が追随するようになっています。